創業70年の企業が、圧倒的なスピードで進めるDXと外国籍エンジニアの関係とは?【JRCS株式会社】

 
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変革を恐れないリーダーとメンバーの意識が生み出す、新しい風。
#DX #外国人エンジニア採用 #ダイバーシティ
 
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船舶・海洋事業を中核とする下関発のJRCS株式会社。働き方改革やDX推進企業として近年注目度アップの企業でもあります!どんなマインドや制度のもと、さまざまな取り組みをスピーディに推し進めているのでしょうか?
今回はグローバルダイバーシティ推進部執行役員の宮澤 様と、Digital Innovation LAB執行役員の空 様にお話を伺いました。
(聞き手:アクティブ・コネクターCOO 野口)
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目次
1. DX推進部署「デジタル・イノベーション・ラボ」(DIL)が魅力的な理由。
2. 外国籍人材が活躍できる秘訣は「受け入れ側のカルチャーチェンジ」
3. 英語拒否反応からの脱却! DILから広がるグローバル / ダイバーシティの波。
4. トップの姿勢と「組織=人」の意識が生み出す、幸せな環境。

1:DX推進部署「デジタル・イノベーション・ラボ」(DIL)が魅力的な 理由。

 
野口(アクティブ・コネクター)まずは、JRCS株式会社の事業内容についてお伺いできますか?
 
空さん(JRCS株式会社):私達JRCS株式会社は創業1948年、72周年を迎える舶用専門のメーカーです。漁船向けレーダー、航海機器の販売修理に始まり、現在では大型船、コンテナ船から海上保安庁の巡視船、護衛船など7,000隻以上に配電盤や機関監視盤を中心に製品を納めています。
また、グループとしては、北欧寝具を扱う「Nordic Sleep Japan」、オーストラリアの日本料理レストラン「EDOSEI」のほか、東京のオーストラリア料理レストラン「64 barrack st.」の運営も手がけています。
 
私達が在籍する「デジタル・イノベーション・ラボ」(DIL)は、舶用向けDX推進のため、2018年に発足し、日本Microsoft社と提携しています。当時は舶用業界で先進的なDXを進めている企業は珍しい状況だったので、パートナー企業も海外で探したりしてきました。ただ日本の造船業界もDXの重要性については認識が高まってきてまして、その流れが加速してきているという感じです。
 
オフィスの様子ですが、DILのフロアを改装しまして、カフェのようなスペースにしました。OA機器を置かずに、皆がラップトップを持って来て仕事をしたり、ワークショップなども行えるような設計にしたんです。
 
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野口いやー、とても魅力的な部署とフロアですよね!実は、弊社の候補者の方々が、御社の採用面接を受けている段階で志望度が上がるということが多くありまして、その理由が空様のご説明でよく分かりました(笑)。一方、DX推進の背景には人手不足もあるとお聞きしましたが。
 
空さん:日本はかつて造船大国でしたが、どうしても労働コストが安い国に産業が移ってしまい、国内では統廃合が進むなど厳しい状況です。また、特に国内船舶の乗組員では人手不足が目立ちます。労働環境も過酷ですし、また、一度出港すると長期間家に帰れないのも、若者の価値観に合わないのだと思います。
 
野口:そういった状況を考えても、入社された方のトレーニングやオペレーションをデジタルの力でサポートしていくということなのでしょうか?
 
空さん:おっしゃる通り、DIL発足の意義として「DXをキャッチアップするのはもちろん、デジタルを使って若者に魅力ある業界にしていきたい!」というCEOの想いがあり、先進的で、より働きやすい、効率的な環境を目指して製品開発を行っています。
 
野口:なるほど。では、DILで外国籍エンジニアを採用するきっかけとは何だったのでしょうか?
 
空さん:はじめは当然のように日本人が来ると思っていたのですが、採用活動を重ねるうちに、外国籍の方のほうがより要件にマッチすることが分かってきたのです。発足メンバー4人全員が英語がそれほど得意ではなく不安もありましたが、宮澤からも「(日本人に限定しては)人が集まらないよ」とアドバイスを受け、私も覚悟を決めて今に至っています。
 
野口:そうだったんですね。宮澤様から見て当時の状況はいかがでしたか?
 
宮澤さん(JRCS株式会社):DILから人事部門に相談が上がってきた時、世界的にデジタル人材の獲得競争が激しいのは存じていましたし、国内からの人材確保は困難でしたので「日本人縛りは取りましょう」と説得して折れてもらいました。
 
野口条件を外したことで、人材を集めることができたのですね!
 
宮澤さん:そうですね。日本人の応募が圧倒的に少なかったのと、いざ受け入れてみたら大丈夫だったというのが自信に繋がり、2人目を採用した辺りから心理的抵抗もなくなったようです。
 
空さん:開発メンバー同士のコミュニケーションが心配でしたが、やはりエンジニア同士通じるものがあるので、そこはクリアしたと思います。言葉の壁はありましたが「やらざるを得ない状況」でしたので(笑)、皆一生懸命勉強していました。現在、エンジニアメンバーの半数が外国籍で、英語も当たり前になっており、先のことを考えるとメリットの方が多いと思っています。長澤(アクティブ・コネクター):会社として語学のサポートは何かあったのでしょうか?
 
空さん:もともと語学のサポートは充実していて、それぞれ自分に合った方法で利用していました。英語だけでなく日本語も同様にサポートをする仕組みがあります。
 
宮澤さん:多様な言語に対しての支援のほか、語学に限らず自己啓発の支援制度があるんですよ。
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2: 外国籍人材が活躍できる秘訣は「受け入れ側のカルチャー チェンジ」!

野口:外国籍人材の受け入れに当たり工夫されたことは?
宮澤さん:DIL立ち上げ以前は、外国人の採用はそれほど多くなく、デジタルではない海外出身の設計者が入社した程度でした。当時は無言のうちに「日本の企業文化に慣れてもらう」という雰囲気があったと思います。
今回、DILでも日本語のコミュニケーションや、日本文化を理解することは彼らのためにもなるので教育はしていますが、それ以上にエンジニアとしてのスキルを発揮してもらうことの方が大事ですので、受け入れ側のマインドセットを変える必要があると思っています。
今後もDILや他の部署にも外国籍の方が入ってくる可能性が高まっていますので、カルチャーチェンジの良い機会と捉え、こちら側が「新しく入社する方が能力を十分に発揮できる環境を作っていく必要がある」と、管理職にメッセージ発信しています!
 
野口:歴史ある会社に新しくデジタルの部門ができ、外国籍の方が入ってこられると、特に他の部署では驚きや戸惑いもあるのではないかと想像しますが、そうした摩擦も宮澤様の部署でケアしていらっしゃるのでしょうか。
 
宮澤さん:それはこれからの課題になると思いますね。事業が軌道に乗るにつれて他の部署とのコラボも増やし、既存事業や社内システムのデジタル化も推進していかなければいけないです。私もダイバーシティーの観点からコミュニケーションの場を増やしていきたいと思っています。
 
空さん:ちょうど昨年12月から、DILと既存部署との共同開発プロジェクトが進んでいます。各部署のメンバーや、アドバイザーとして60歳くらいの大先輩が参加するなど、お互いが良い刺激を受けている様子で、コラボの良いきっかけになると思いますよ。

3: 英語拒否反応からの脱却!DILから広がるグローバル/ダイバーシティの波。

野口:DIL内のコミュニケーションは英語ですか?
空さん:良いか悪いかは別として、全ての会話が英語になりましたね。
 
宮澤さん:これは本当に画期的なことなんですよ!取引においても海外を相手にしている以上、英語は必要だったのですが、5年前は英語に対する拒否反応が本当に激しかったんです。ただ、DILに関しては既存の概念は当てはまりませんし、そこで活躍してくれる人たちが英語しか話せないとしたら、こちらも合わせないといけない。「少なくとも皆義務教育で習ったでしょ」と(笑)。ですので、DILの社員が片言ながら英語を話しているのを見た時には感動しました!
 
長澤:コミュニケーション以外の人事評価や社内規則も英語化されているのでしょうか?
 
空さん:レビューはもちろん英語ですが、人事評価や社内規則、通達などは両方です。以前は全て日本語でしたので、大きく変わったことの一つですね。
 
野口:DILの立ち上げをきっかけに変化がどんどん広がって行ったということですね!
 
宮澤さん:私としてはこれをきっかけに、違う文化の人たちがどんどん入ってきて、それによって社内のカルチャーも刺激を受けて変わっていけば良いなという想いは持っていました。
 
野口:その点に関しては、宮澤様が経営課題として感じていたことがあったのでしょうか?
 
宮澤さん:そうですね。トップもずっとグローバルやダイバーシティを意識して発信していたのですが、なかなか広まらずにいて、会社の成長を考えると「これではいけない」と、事あるごとに英語に触れる機会を増やせればと思ってきました。DILの採用や事業が進むにつれ、事業とグローバル化がセットになっていったのも成功要因でしたね。
 
野口:なるほど。DILとしては経営陣のバックアップも得られ、経営陣にとってはDX推進と同時にグローバル化やダイバーシティ化を図る事例になるという、理想的というか、まさに両輪で進めてこられたのですね!
 
空さん:もともと下関のカルチャーから脱却しないと、世界で通用しないと思っていたので、グローバルやダイバーシティ、カルチャーチェンジの成功の土台ができてきているのは嬉しい限りです。日本人エンジニアが少なくなっている状況で、将来的に外国籍の方が働ける環境を整えることは必須だと思っています。もちろん、エンジニアとしても最先端の技術を使い非常に興味深い開発を行っており、仕事のやりがいとしても面白い職場だと感じていますよ。
 
宮澤さん:いろいろなことが同じタイミングで進んだことが相乗効果で良かったと思います。
若い人たちに魅力ある業界にしたかったので、新卒採用の会社説明の場でDILやデジタル化の取り組み、さまざまな国籍の人たちが働いている話をすると、若い方に非常に興味を持ってもらえます。
 
これまで採用活動も苦労していましたが、「新しいことにチャレンジする社風」や「ダイバーシティ」に魅力を感じる優秀な若者の応募も増え、採用にもプラスに働きました。
文化の多様性を楽しむ若者が増えていくことで確実にカルチャーが変わっていくので、楽しみな動きになっていますね!
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4: トップの姿勢と「組織=人」の意識が生み出す、幸せな環境。

野口:社長様はダイバーシティについて、元々どのようにおっしゃっていたのですか?
 
宮澤さん:社長も下関出身なのですが、海外や東京、他の組織での経験もあるので、いわゆる「大企業病」のような体質には違和感があったようです。それと、異文化の人と接するのが好きですね。国内でもいろいろな地域の方に入ってもらいたいとも語っていました。
 
空さん:社長はとてもフランクで、DILの部屋でよく一緒に仕事をしています。社長室がないので、ラップトップひとつで私達と普通に会話をしながら、同じ目線で業務を行っていますね(笑)。
 
宮澤さん:実は社長室はあったのですが、3年ほど前に「籠っていてはダメだ」と、自ら出て各フロアで仕事をするようになりました。トップ自らがカルチャーチェンジをする姿勢を見せているのだと思います。
 
野口:副業やその他の取り組みもだいぶ早い時期から行われているようですが、それも社長様の意図したところなのでしょうか?
 
宮澤さん:一番早かったのは10年前に設けた社内託児所だと思います。女性社員の寿退社に関しても、優秀な女性社員が辞めるのは残念だという思いと、ちょうど行政の支援も始まったことから、いち早く取り入れました。その後も働きやすさを追求する先進的な取り組みを実現してきています。
副業については、解禁したのは3年ほど前です。違う世界や価値観に触れて、視野を広げたり発想を柔軟にするきっかけにしてほしいというのが理由でした。
 
松永(アクティブ・コネクター):社長様のスピーディな姿勢に対して、社員の皆様はどのように受け止めているのでしょうか?
 
宮澤さん:上手くいくこともありますが、もちろん壁があったり後退することもありました。いろいろな社員の意見があって然るべきだと思いますし、目的を丁寧に説明したうえで、社員の多くが同じ方向を向けば良いのでは、と思っています。
 
金(アクティブ・コネクター):積極的にカルチャーチェンジ、ダイバーシティに取り組まれ、女性や外国籍の労働環境を整備するなど、人材を大切にする姿勢に感銘を受けました!
 
宮澤さん:これはトップも常に言っていますが、「組織は人」だと思っています。やはりワクワクした気持ちで働ける環境でないと仕事は楽しくないし、良いアウトプットも出ないと思います。人生の長い時間を過ごす場所ですので、そこが幸せでないと幸せな一生は過ごせない。そういった部分も含め、組織作りをする人間には責任があると思っています。
入社していただくことで、その人の人生がより良いものになるかどうかというスタンスで常に採用を考えています!
 
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~ インタビューを終えて ~
歴史の長い企業とは思えないほどの、スピード(スタートアップ以上かも!)で、先進的な施策を数多く実行されているその秘密は「リーダー達の先見性溢れるマインドと実行力」、そしてそれプラス「社員を大切にする風土」だと感じました。こういった企業がどんどん増えて欲しい!!率直にそう思えたインタビューとなりました。                          (アクティブ・コネクター CSチーム 松永)

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