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【実体験】知っておいて欲しい、子連れ出勤に伴う苦労とリスク

「異人・変人と変革を」というミッションを掲げ、一人一人が自分らしく生きれる世界を作ることを目指す私たちアクティブ・コネクターでは、代表である私、松本が出産に伴い、子どもを連れきて会社経営をするという「子連れ経営」、一般的にいう子連れ出勤に挑戦しました。怒涛の子連れ出勤の1年間のレポートや、チームメンバーのインタビューもぜひご参照ください。またこの体験をもとにした、子連れ出勤を社内で取り入れるポイントもこちらに書いております。

そんな風に子連れ出勤をアピールしているため、私たちが子連れ出勤を推進していると思われるかもしれませんしかし、1年間子連れ出勤を実践してきた当事者の、「経営者」としてではなく、「一人の親」としての立場としては、私は子連れ出勤推進派ではありません。というのは子連れ出勤は、育休をとっていたりする時や、保育園に子どもを預けている時にはない苦労とリスクが伴うためです。

今回は、子連れ出勤を検討している当事者の親の方(もしくは親になる予定の方)を対象に、子連れ出勤を検討する上で知っておいて欲しい苦労やリスクを、私自身の体験談をもとにお伝えします。

 

目次
・ベビーシッターさんに預けるのは「信号のない道を横断すること」
・共働きのパートナーの全面的な協力が必要
・保育園にいれていないことでの「同情」「好奇」の目にさらされる

 

ベビーシッターさんに預けるのは「信号のない道を横断すること」

子連れ出勤をするということをしばらく(1年間等)続けていくということになれば、いずれかのタイミングで子どもに付きっ切りで面倒をみる人の存在が必要になります。仕事をしながら子どもの面倒をみる、というのが不可能になります。そうなって来た時には、おそらくベビーシッターさんを採用するということになるでしょう。しかしこのベビーシッターさんに預けるということは、保育園に預けた時とは異なる一定の不安やリスクがあります。また、何かあった時の責任はベビーシッターさんに預けた当事者の子連れ出勤をしている方が全面的に被ることになります。

では具体的にどんな不安やリスクがあるのでしょうか?

保育園では、ある一定数の保育士の方々が、その保育園の方針、責任のもとに選抜され採用されています。仮に何かあった場合には、保育園の責任になります。(もちろん預けた親が自分を責めないということは想像しがたいですが)また、保育園であればある一定数の保育士の方の目がある中で、他の人の目がある中でよほどのことは起きないだろう、という安心感もある程度あるかと思います。

 

一方で、子連れ出勤の際のベビーシッターさんについては、誰をベビーシッターさんとして採用するのか、その人に対してどんな風に子どもの面倒をみてもらうというお願いをするのか等、全ての判断を当事者が前面的に担うようになります。

同時に、ベビーシッターさんという存在は、赤ちゃんと1対1で向き合います。仮にベビーシッターさんが社内にいたとしても、常にベビーシッターさんを見ていられる状況にはもちろんありません。人の目がない状況に、話せない、無力な子どもを預ける、ということに対して、リスクはあります。そしてそれに対して当事者の方は不安を感じることでしょう。(せめてベビーシッターの方への信頼を持てる最初の数回の間や、ベビーシッターさんという存在が身近でなかった場合は)

 

良いベビーシッターさんに出会えれば、一人の赤ちゃんに対してじっくりと向き合ってくれる保育者さんがいて、保育者の方が複数の0歳児の面倒をみるという保育園に預ける時よりも安心と思えることでしょう。しかし同時に、上述の通り、 保育園に預けた時には当事者である親が直面しなくてもよいリスクに向き合っていかなければいけません。 イメージとしては、保育園に預けているということは青信号がしっかりと点滅している横断歩道を渡る感じです。一方で、ベビーシッターさんにお願いするということは、信号も横断歩道も用意されていないところを自己判断で横断する、そんな感じです。

 

1年間子連れ出勤をしてきた私ですが、初めてベビーシッターさんという存在に子どもを預けた時は、とにかく不安でパニックに陥りそうでした。ベビーシッターさんと我が子が外出した時には、そのまま帰ってこないのでは、とソワソワしっぱなしでした。少しでも帰ってくるといっていた時間から遅れると、不安から電話をしてしまったり。子どもに変わった様子がないか不安だったり。今でこそ、一人一人のベビーシッターさんに感謝の気持ちでいっぱいですが、ここまで来るのに時間がかかりましたし、同じことをまたゼロから(新たなベビーシッターさんを探さなければいけないということ)やらなければいけないとなれば、本当にまた精神がすり減らされる思いです。

 

共働きのパートナーの全面的な理解・協力が必要

 子連れ出勤をしていく当事者以上に、パートナーの方が子連れ出勤をしていくことの意義・意味を理解し、全面的に協力していくというコミットメントをもっていくことが大切です。しっかりとパートナーが協力しなければ、子連れ出勤をしている当事者はどんどんアンフェアな気持ちが大きくなり、本来子育ても仕事も両立するつもりで始めたのに、子育てにとって大切な家庭という基盤がどんどん危うくなっていくリスクがあります。

では具体的にどんな場面でパートナーの協力が求められるのかということをリストアップしてみたいと思います。

 

ベビーシッターさんのアレンジの責任分担:ベビーシッターさんを採用するとなるのであれば、その方に子どもを預けている時に万が一子どもに何か問題があった場合は、採用した人が大きな責任を感じることになるでしょう。ベビーシッターさんを採用する際には、子連れ出勤をする当事者の方のみならず、そのパートナーの方も一緒に採用するなどをする協力が理想です。そうでなければ、何かあったときにいつまでも、子連れ出勤をした当事者の人だけが自分を責めることになります。ベビーシッターさんの採用面接に一緒に社外のパートナーの方にも出てもらうことが理想です。パートナーの方もフルタイムで働いているとなると、かなりのパートナーの方の理解と協力が必要になってきます。

 

他にはたまにベビーシッターさんの方が病気になった、急な予定でとお休みされることがあった場合に、その際のベビーシッターさんの代わりのアレンジをしたり、もしくは一時保育を利用したり・・・とうことになると、そのための時間もかかります。通常のオペレーションのままではスムーズにいかなくなったときに、誰がその際に時間を使って問題解決をするのでしょうか。子連れ出勤をしている当事者の人だけがアレンジの責任を持つのか、この非常事態に対してパートナーの方も何か協力をするのか、というのもパートナーの人とのコミュニケーションが必要になります。

 

お弁当は誰が作るのか?:また保育園に預けるとなると、給食が基本はあるかと思いますが、子連れ出勤となると、自分でお弁当を作っていくしかありません。お弁当作りへの一定の時間も必要です。これは、共働きをしている場合誰がどんな風に担当をするのか、という話し合いと協力が必要です。私個人の話をすると、子どもは冷凍した離乳食だと食べてくれなかったため、毎朝5:30や6:00に起きて離乳食作りをしていました。あるときふと、毎日自分だけが離乳食を作っているのはおかしいと思い、夫と話し合いをした上で、夫と私で順番に離乳食を作るようになりました。

 

仕事の時間が足らない!:オフィスの中に子どもがいるということは、業務時間の間でも仕事の時間に加えて子育てにかかる時間がある程度とられてしまうということになります。例えば、オムツ替え、最初のうちは授乳の時間、ベビーシッターさんに助けてもらうとしてもベビーシッターさんへの挨拶等・・・一つ一つのタスク(という言い方はあまりにもドライかもしれませんが・・・)はそこまで時間がかからないかもしれませんが積もり積もるとそれなりの時間になります。何よりも仕事の集中が妨げられます。そうなってくると、それまでフルタイムで行っていた仕事量もしくはそれに近いものをこなしていこうとするのであれば、家にいる時に必然的に仕事に取り組まなければ回っていきません。パートナーの方にはそういった事情を理解してもらい、家での仕事の時間をとれるように協力してもらう必要があります。

私自身は夫の協力・理解がなければ子連れ出勤(子連れ経営)は絶対に成り立たないと思います。最近は夕飯を作って子どもに食べさせるところまでは私が担当していますが、そのあとの夕飯の後片付けからお風呂、寝かしつけはすべて夫がやってくれています。その間に私はPCを立ち上げて一心不乱に仕事。ありがたいかぎりです。

 

保育園にいれていないことでの「同情」「好奇」の目にさらされる

最後に、世間では「働く親は保育園に子どもを預けて当たり前」という考えと、「子どもにとって親といるときが一番幸せ」という考えが主流 になっているようです。そんな中で、子連れ出勤という、いずれの考えにも反することを実施するときに、子どもや子連れ出勤をしている当事者に対しての「同情」と「好奇」の目がいくことを覚悟する必要があります。

 

例えば、私は「ベビーシッターさんといるときのお子さんの顔と、お母さんと一緒にいるときのお子さんの顔は全然違う」というコメントをしてくる方に何度も出会いました。「子どもは親といることが一番幸せだ」という考え方に沿って言っているのだと思いますし、実際に子どもの表情は違うのかもしれません。しかし、こういうコメントを受ける当事者としてはどういう思いを持つのでしょうか。そんな風に言われたところで、子どもとずっと一緒にいられるわけではありません。ベビーシッターさんといることで、子どもが我慢しているのかな、という想像や不安を掻き立てられるだけです。

私自身はそういったコメントをしてくる人に対して、苦笑いをした後に、改めて「なんで自分はそれでも子連れ出勤をしているんだっけ」という信念をその度に確認させられました。その信念が強くなければ、こういうコメントに対してずっと罪悪感を引きずっていたと思います。

 

他にも「保育園の子達が散歩をしているのをみて、仲間に入りたがりそうにしていましたよ」というコメントをしてくるベビーシッターさんも何人かいました。そういうコメントをする背景には「働く親は保育園に子どもを預けて当たり前」という考え方があるのか、もしくは「子どもは集団でいた方が幸せだろう」という考え方があっていっているのだと思います。実際に子どもは他の子たちを見て、その仲間に入りたかったのかもしれません。

事実はわかりませんが、こちらも同様に、そのコメントをもらった子連れ出勤をしている当事者が、すぐに「じゃあ明日から保育園に入れよう」という決断ができるわけではなく、むしろ「保育園に預けていないことで子どもは不幸なのかな」という罪悪感が生まれます。

 

子育てに専念して専業主婦としてやっているわけでもない、一般的にはたらく女性が選ぶ保育園に入れるという選択肢をしているわけではない、子連れ出勤という前例が少ないことに挑戦しようとする場合には、その当事者の人たちが、色々な方からのある一定の「判断」の目の中で晒されていくということを覚悟が必要です。子連れ出勤を「子育てをしながら仕事ができるなんて素敵!」というナイーブな想いだけからスタートするには、あまりにも過酷だと注意をしたいと思います。

 

***

子連れ出勤については政府が推進しようとするなど、社会的には「どんどん挑戦して!」という風潮になってきているのかもしれませんが、子連れ出勤に1年間取り組んできた当事者からすると、子連れ出勤をするという判断を取ったときに直面しなければいけないリスクや大変さ、批判の声に対して相当の覚悟が必要ですよ!、と声を大きくして言いたいです。

その覚悟は子連れ出勤を決定する経営者や人事の方が持つのではなく、子連れ出勤をする当事者の方がしっかりと持つ必要があります。正直なことをいうと、子連れ出勤を推進しようとしている政府の人たちは、子連れ出勤がどれだけ大変で苦労を伴うものか、全く見えていないのに表面的なところだけで、無責任に色々と言っているだけではないかと感じます。

子連れ出勤に伴うリスクや苦労に対しての覚悟がないままに、「きっとどうにかなる」と信じてスタートしたり、良い側面だけを見て見切り発車してしまうと、実際に子連れ出勤を始めたあとに、子どもを連れてくる当事者も周りの人(特に当事者の家族ーパートナー)も本当に大変になってくるのではないかと思います。

子連れ出勤ということについて色々とメディアで批判をされたり、逆に好事例だとして取り扱われたりしますが、当事者からの苦労話というのはなかなか焦点があたらないので、少しでも今回の「リアルな大変な部分」として少しでも参考になれば幸いです。

 

松本麻美
松本麻美
「異人・変人と変革を」外国人ハイスキルエンジニアとベンチャー企業をつなげることで、一人一人が情熱を思い切り追求できる世界を創ることを目指すアクティブ・コネクターを2013年5月に創業。17歳で単身渡英。ウェールズの寄宿舎での2年間の生活、カナダでの大学生活を経て、就活やインターンに明け暮れる大学院生活を送ったのちゴールドマンサックスに入社。311を機に退職をし、パキスタンに渡る。その後情熱に突き動かされるままに起業。

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