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社員の3割が外国籍。宇宙ベンチャー、イノベーションの源泉は多様性にあり

東京大学・東京工業大学の研究室から飛び出た「宇宙ベンチャー」の先駆けのアクセルスペース。超小型人工衛星を民間で作るという野心的なビジョンを掲げ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からも業務委託を受けるなど、まさに宇宙ビジネスの未来を切り開いている日本を代表するベンチャー企業。ここ二年で社員数が二倍に増え70名の大所帯に。実はこの70名のうち30%が外国籍人材!急成長するベンチャーの裏には、グローバル人材(外国人エンジニア)の活躍があるそうです。今回はアクセルスペースの外国人エンジニア採用の背景や、どのようにグローバル人材が活躍しているのか、多様性を最大限活かしていくための取り組みについてアクセルスペースの経営管理グループ採用・人材開発リーダーの松本様にお伺いしました。

社員の30%が外国人エンジニアの背景とは・・・

ー超小型衛星を開発するというところからスタートした御社の現在取り組むビジネスを教えていただけますでしょうか?

松本さん:はい。アクセルスペースのビジネスは、もともと超小型衛星開発に大学時代に取り組んでいた数人のメンバーによってスタートしました。超小型衛星を使って、人間社会に役立つような面白いサービスを提供したい、という思いは、起業当初から今まで一貫して変わらずに全メンバーが共有しています。

大学発の独自技術をゼロから発展させてきたため、アクセルスペースの衛星は世界的に見ても圧倒的なコスト競争力を有しています。これまで、民間企業やJAXAむけに合計5機の衛星を開発し、打ち上げを成功させ、その後の運用も担っています。2015年以降は、この超小型衛星の開発に加えて、数十機のGRUS衛星からなる地球観測網AxelGlobeの構築という新たなプロジェクトに力を入れています。AxelGlobeが実現すれば、1日1回、地球上の全陸地の約半分を撮影することが可能となります。これは人間が経済活動を行うほぼ全ての領域であり、その画像情報を毎日得ることができるようになるのです。2018年12月にGRUS初号機の打ち上げに成功しました。今後衛星の機数増やし、完成は2022年を予定しています。

 

ーそのAxelGlobeの画像というのはどんな風に社会の役に立っていくのでしょうか?

松本さん:画像データの活用方法については、お客様それぞれのニーズ、アイディアによって無限大の可能性があると考えています。例えば、農業においては、作物の育成状況をモニタリングしたり、港のコンテナをカウントすることで、インフラの効率的な活用を検討する材料にするなど、他にも自然災害の分析にも活用できるのではないか、との声も聞いています。この事業構想を発表してから、私たちが想定していなかった分野の方々から、「衛星画像を使ってこんなビジネスを展開したい」というお問い合わせをいただいています。新たな未来をたくさんの方々と一緒に作り出していると感じられる事業です。

 

ー新たな事業も順調にスタートされ、昨年には25.8億円の資金調達も実施された御社では、チームが急拡大した中で多くの外国人エンジニアが活躍されているとお伺いしました。どんな風に外国人エンジニア採用を始められたのか、お伺いできますでしょうか?

松本さん:現在アクセルスペースの社員は70人ほどで、このうちの30%が外国人エンジニアです。外国人採用については、最近始めたことではなく、2008年に創業してから、割と早い時期からチームの中に既に外国人のメンバーがいました。

その後も、外国人からの応募はコンスタントにあり、良い人材であれば採用してきた結果、外国人エンジニアがいるのが当たり前という状況になりました。

 

ー外国人エンジニアと日本人エンジニアを比較した時に、何か採用の上で特徴やメリットはありますでしょうか?

松本さん:時代は変わってきているとはいえ、日本において、弊社がターゲットとするような領域にいる日本人エンジニアは、転職に対して慎重な方が多いです。宇宙ベンチャーというと、本当に大丈夫?となり、家族の了承が得られず最終的に内定辞退というケースも実はあったりします。

一方で、弊社に応募してくる外国人エンジニアは日本という異国にチャレンジしてきているという時点で挑戦マインドがあり、転職に対しても抵抗がない方が多い印象を受けます。多くの外国人エンジニアが目をキラキラさせて、超小型衛星開発という、今まで国家プロジェクトとして行われていた分野に民間がチャレンジしていくベンチャースピリットに面白さを感じると、入社を志望されます。

ターゲットペルソナとして、外国人エンジニアは合っていると思いますね。

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外国人エンジニアとの語学や文化的な壁はあるのか?

ー外国人エンジニアの採用というと、日本語力を気にされるベンチャー企業の方々が多くいますが、御社で採用される外国人エンジニアの方々は皆様日本語が流暢なのでしょうか?

松本さん:いえ、私たちは戦略的に、日本語を一切話さない外国人エンジニアも採用しています。ここ2年ほどで会社の従業員規模が2倍に増えましたが、その過程においてターゲットを日本市場に狭めず採用を行ってきました。当社に限らず、ITやエンジニアリングの部門において日本は売り手市場で、なかなか良い人が見つかりません。会社の成長のためには人が必要。日本人だけをターゲットにしていたら、人材採用が頭打ちになってしまいます。そこで、外国人エンジニアの採用を意識的に始め、現場とも協議の上、場合によっては要件に日本語能力を含めないポジションも設けてきました。

日本語要件を高く設定したまま外国人エンジニアを採用しようとしても、そもそも母数が少なく採用戦略として機能しません。結果として、高い技術力をもち、会社のカルチャーにもフィットする外国人エンジニアがチームに加わることになりました。日本語力の要件を下げた形での採用戦略は成功していると感じています。

 

ーなるほど。日本語が話せない外国人エンジニアの方々がいらっしゃるということは、社内の言語環境も英語が公用語なのでしょうか?

松本さん:社内の公用語として明確に英語という定めはありません。社内で使っている言語は英語と日本語が入り混じっています。例えば、週1回実施している全社ミーティングでは、日本語と英語の両方を使っています。

実はこの英語と日本語の両方を使う、というところに行き着くまでは紆余曲折ありました。全部英語にしよう、とした時期もあったのですが、英語がそこまで得意でない日本人メンバーから「会議の内容が分からない」という声が上がりました。そこで今度は日本語にしてみよう、とシフトしたら、外国人エンジニアから「自分たちは重要視されていないと感じる。疎外されている」という声が。そのような経緯を経て、今は、日本語・英語の両方を使う形に落ち着いています。

 

ーそれでは言語において明確なルールはないものの、うまく機能しているということなんですね。

松本さん:はい。アクセルスペースはオフィシャルなルールをあまり好まない会社です。そのため使う言語というところもトップダウンで決めるということは社風になじまないのかと思います。

社員一人一人、プロフェッショナルとして、国籍関係なくお互いを尊重し合っているため、相手としっかりとコミュニケーションができるように、それぞれがコンテキストに応じて言語を使い分けている印象を受けます。全社会議以外でも、一人でも日本語が分からない人がいたら、英語にスイッチしよう、というのも、気づいたら自然と行われるようになってきています。

ただ、たまに日本人が無意識的に日本語だけで話してしまうこともあり、そういう時には外国人エンジニアは「場を乱さないように」と分からないことを言い出せずにそのまま流れていってしまうこともあります。まだまだ一人一人の意識付けは必要な状況ではありますが、全体的に言語的なところでは互いに思いやりとプロフェッショナリズムをもって機能しているのかな、と思います。

 

ーちなみに読み書きというところではどうでしょうか?よく社内での会話が英語になっても、ドキュメンテーションは日本語のままなので、外国人エンジニアがついていけない、という話も聞きます。

松本さん:これも明確にルールを定めているわけではないのですが、エンジニアのドキュメンテーションは段々英語になってきていますね。修士や博士号を持つエンジニアが多く、学生時代に英語のドキュメンテーションを読んだり、書いたりしていたこともあり、英語文書には特に抵抗がないようです。

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外国人エンジニアという多様性がもたらすイノベーション

ー「多様性がイノベーションをもたらす」というのはよく聞かれますが、まだ多くの人がこれを実感として感じられていなくて懐疑的になっているのが日本の現状です。実際に社員の30%が外国籍社員という貴社は、どんな風に多様性の存在をとらえていますか?

松本さん:私たちは多様性そのものに価値をおいて、外国人エンジニアを採用してきたというよりも、結果的に一定数の外国人社員を採用することになった、というのが現実です。

一方で、これから私たちのビジネスを国内外で大きく展開していくに当たって、日本人だけでなく、色々なバックグラウンドや考え方の人がいる方が新たな価値を出していけるよね、という共通認識は全員にありました。これは経営陣だけが持っている意識ではなく、現場の一人一人が持っていると思います。外国人エンジニアはそれぞれ色々な国から来ており、色々な国の状況や考え方を知ることができます。また外国人に限らず、中途社員のアクセルスペースにジョインする前にいた業界も様々で、色々な経験から様々に学ぶことができます。

 

チームを一つにまとめていく企業文化とコアバリュー

ー色々と外国人エンジニアを採用していく過程において、他の会社では経営陣と現場での意識の乖離が見られてギクシャクしてしまうというケースも聞くのですが、アクセルスペースでは非常にスムーズに現場に受け入れられているという印象を受けます。何かこれに秘訣があったのでしょうか?

松本さん:外国人エンジニアを採用していくにあたって、何か多様性の大切さを経営陣が意識して伝えるといったことはありませんでした。ただ、アクセルスペースのメンバーはとても頭がよくてロジカルな人たちばかりです。そして上下関係を気にせずになんでも意見を言える風潮があります。

外国人エンジニアを受け入れることでのデメリットが大きいと判断すれば、必ず現場から経営陣や人事部に反対の声が上がっていたと思います。これまで反対もなく受け入れているということは、メンバーがデメリットよりメリットを多く感じている表れかもしれません。

また、面接でしっかりとカルチャーフィットを見ているということも強調しておきたいです。日本人、外国人ということは関係なく、アクセルスペースのカルチャーに合うのかどうかの判断は、選考に関わるメンバーが気をつけて見ています。

 

ーカルチャーフィットという点において、何か意識して言語化していることや取り組まれていることはありますでしょうか?

松本さん:ここ数年で一気に人が増えていく中で、会社の文化を言語化することに取り組んできました。これはCEOの中村がリーダーとなり、自分たちの企業文化を描き出すという全社レベルの一大プロジェクトでした。

まずは、コーポレートミッションを言葉で定義し、次に私たちが大切にするコアバリューを、全社員からのヒアリングを行いながら洗い出しました。このコアバリューは最終的に3つの「Axelway」としてまとまりました。

但し、定義しただけで、一人一人が意識してなければ、根付いていきません。そこで、Axelwayを浸透させるために、3つのAxelwayそれぞれにまつわるエピソードをみんなで共有し合うワークショップを開催したり、いつでも思い出せるように、会議室の壁にペインティングするアイディアなども出ています。

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 取材を終えて 〜アクティブ・コネクターより〜

社員の30%が外国人エンジニアという、非常にグローバルなチームで構成されるアクセルスペース社。グローバルなチームがとてもうまく機能し、様々なイノベーションを起こしている背景には、一人一人のプロフェッショナリズムと、企業文化やコアバリューを設定するという会社としての努力があることが分かりました。

外国人エンジニアの方の持っている文化的背景や職務経験を貴重で価値あるもの、として一人一人がリスペクトし合う風土は本当に素敵だな、とインタビューを聞いていて思いました。

上述のお話以外にも、色々と外国人エンジニアがより社内で活躍できるようにと研修にも取り組まれ、今回は弊社で提供するビジネスマナー研修も受講されました。こちらビジネスマナー研修がどのようなインパクトがあったのか、なぜ企業文化に馴染んでいる外国人エンジニアでも、ビジネスマナー研修を受けさせようと思ったのか、等のお話はこちらの事例記事よりご確認ください。

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松本麻美
松本麻美
「異人・変人と変革を」外国人ハイスキルエンジニアとベンチャー企業をつなげることで、一人一人が情熱を思い切り追求できる世界を創ることを目指すアクティブ・コネクターを2013年5月に創業。17歳で単身渡英。ウェールズの寄宿舎での2年間の生活、カナダでの大学生活を経て、就活やインターンに明け暮れる大学院生活を送ったのち外資金融に入社。311を機に退職をし、パキスタンに渡る。その後情熱に突き動かされるままに起業。

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